心身ともに健康な介護生活を送るために
「親の介護は私がやらなきゃ」という思いは、多くの介護者が抱く気持ちです。しかし、この思いが強すぎると、ご自身の生活もある中で頑張りすぎて、心身ともに疲れ果て介護をする人が介護されることにもつながりかねません。
介護を続ける上で大切なのは、自分自身を大切にすることです。
はまると危険! 介護の負の連鎖
大切な家族の介護に対しての「私がやらなきゃ」という思いは、愛情から生まれる自然な感情です。しかし、この思いが強すぎると、以下のような問題を引き起こす可能性があります。
- 睡眠不足: 夜間の介護で十分な睡眠が取れず、疲労が蓄積されます。
- 健康状態の悪化: ストレスから、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を発症するリスクが高まります。
- 人間関係の悪化: 家族や友人との関係が悪化し、孤立感を深めることがあります。
- 介護の質の低下: 介護者が疲弊すると、介護の質が低下し、親への負担が増える可能性があります。
よくある問題の例:
- 介護のために仕事を辞め、経済的な不安を感じている。
→ 先の見えない介護についての不安感、仕事に復帰できないのでは?という気持ちの焦り。 - 昼夜問わず介護に追われ、自分の時間が全くない。
→ 生活リズムの変化、トラブルが起きたらどうしよう、というプレッシャー。 - 家族や友人との時間が取れず、孤独を感じている。
→ 悩みを共有できず、自分だけで抱え込むことの恐怖。 - 親の介護と自分の健康のバランスが取れない。
→ 介護者の心的・身体的負担による、体調維持の困難さ。
介護疲れを防ぐための具体的な対策
前述の事例のような悩みや問題は、特に介護経験の少ない介護を始めたばかりの人がよく直面する内容です。
でも、介護は一人で解決しなくていけない問題ではありません。「私がやらなきゃ」という思いから、「みんなで支え合う、周囲の力を借りる」という考え方にシフトすることが大切です。
- 周囲に助けを求める: 介護を行うにあたり「人の手を借りる」のは恥ずかしいことではありません。みんなの力で介護を成功させる、という気持ちが介護を受ける人にも必ず伝わります。
- 家族に協力をお願いする
- 地域包括支援センターに相談する
- ホームヘルパーやデイサービスを利用する
- 介護者支援グループに参加する
- 完璧主義を捨てる: 未経験で介護を行う場合、慣れないうちは勝手もわからず失敗してしまうこともあります。ただ、失敗しても次に活かすことができれば大きな経験になります。
- 全てを完璧にこなそうとせず、できる範囲で取り組む
- 間違いを恐れず、周囲に相談する
- 自分を大切にする: 介護を行うからといって、自分のすべての時間を介護に費やす必要はありません。ときには趣味や自分のための外出など、自分の楽しめる時間を持つことによって、メリハリをつけて家族との時間も充実させましょう。
- 趣味の時間を作る
- 友人と会う
- 適度な運動をする
- 栄養バランスの取れた食事をする
- プロの力を借りる: 病院や地域包括支援センターなど、専門家からの介護の手助けやアドバイスを受けられる機関も積極的に利用し、より快適で負担の少ない介護についても検討してみましょう。
- ケアマネジャーに相談する
- 医師に相談する
- 心理カウンセラーに相談する
具体的な対策の例:
- 夜間の介護は家族と交代で担当する
家族と協力しあうことができれば、一人あたりの介護に充てる負担を軽減することができます。家族からの協力を得ることが難しい場合は、ヘルパーにお願いするなど、一人で抱え込まない体制を作ることが大切です。 - 家事や買い物をヘルパーに依頼する
ヘルパーに依頼できるのは、介護される方の身の回りの世話だけではありません。
介護度によりヘルパーに依頼できる時間数などが異なるため、ケアマネージャーにも相談しましょう。 - 週末は、デイサービスを利用して自分の時間を確保する
介護をしているからと言って、自分の時間を持ってはいけないということはありません。
趣味や旅行など、デイサービスやショートステイなどのサービスを利用して積極的にリフレッシュする時間を持ちましょう。 - ヨガやウォーキングなどの軽い運動をする
介護には体力も必要です。生活の中に適度な運動を取り入れて、自分自身の健康を維持することも重要です。 - 栄養士に相談して、バランスの取れた食事を作る
介護を受ける方の楽しみとなるような栄養バランスに考慮した食事を考えることで、自分自身の健康や家族との会話のきっかけにもなります。
介護を続けるために「自分の時間」を確保しましょう
自分に合ったサービスを利用することで、介護の負担を軽減することができます。
以下のようなサービスを利用し、一時的にでも介護から離れる時間を作ることで、心身のリフレッシュにつながります。
- 介護サービスの有効活用: 訪問介護、デイサービス、ショートステイなど、自分に合ったサービスを選ぶ
- 一時的な休息: 短期間でも、介護から離れる時間を作り、リフレッシュする
- 趣味を持つ: 介護以外のことに目を向けることで、ストレスを軽減する
- 仲間作り: 同じような状況の人と交流することで、悩みを共有し、励まし合う
介護者向けの支援制度
自分だけでと考えずに周りの力をかりながら、介護を続けられるようにしていきましょう。
- 介護保険: 介護サービスの費用の一部を国が負担
- 地域包括支援センター: 介護に関する相談や、サービスの紹
- 介護者支援団体: 介護者のための相談や支援を行っている団体
これらの内容については、本サイトでも別の記事で紹介しています。
→ 介護費用が心配?節約のコツと助成制度を解説!
→ 介護のプロに相談!ケアマネジャーの選び方と活用術
介護と自分を両立するために
「私がやらなきゃ」という思いにしばられてしまうことは、特に介護を始めたばかりの介護者を苦しめる可能性があります。
介護に関する問題は自分一人で抱えこまず、周囲の力を借り、自分自身を大切にし、長く健康的に介護を続けていきましょう。
【参考リンク】