生活リズムと食事の重要性を考えよう
介護を初めてから、体が慣れないうちに誰もが苦労する「生活リズム」と「食事」の問題。
介護する側もされる側も生活のリズムが乱れて体調にも影響を及ぼすことがよくあります。
まずは睡眠と食事を見直して、毎日の生活のリズムを整えましょう。
睡眠の質を高めるために
人が生きて健康を維持するために睡眠は欠かすことができないものです。
介護生活が始まると生活のリズムなども不規則になりがちです。介護される側としては「介護してくれる人に生活を合わせよう」として無理をしてしまうこともあります。
- 昼間の活動: 介護される方の体調に合わせて昼間に適度な運動や活動を行うことで、夜間の睡眠の質を高めることができます。ただし、夕方以降は興奮するような活動は避け、リラックスできる時間を設けることが大切です。
- 快適な睡眠環境: 寝具は清潔で、体に合ったものを選びましょう。また、室温や湿度を本人は感じないので周りが注意し、快適な睡眠環境を整えましょう。睡眠時間が長くなるときは体勢をかえ床ずれを防止しましょう。
- 睡眠薬の使用: どうしても眠れない場合は、医師に相談し、睡眠薬の使用を検討しましょう。
食事の重要性について
決まった時間にしっかりと食事をとることは生活のリズムを維持するために効果的な方法です。
栄養バランスを考えた食事をベースに、規則正しい食事の環境を検討しましょう。
- 栄養バランス: 高齢者は、若い頃に比べて基礎代謝が低下するため、エネルギーの摂取量を控えめにし、栄養バランスを重視することが大切です。特に、タンパク質は筋肉量の維持に、カルシウムは骨の健康に不可欠です。
- 食事の回数: 1回の食事量が多いと消化に負担がかかるため、1日3食を基本とし、間食を摂るなど、こまめに食事をとるようにしましょう。
- 食事の温度: 熱すぎる食事や冷たい食事は、口腔内のやけどや、消化不良の原因となる可能性があります。適温の食事を心がけましょう。
食事のポイントをさらに具体的に
介護=医療行為を受けること ではありません。日々の食事からも健康を維持することができます。
栄養のある摂取しやすい食事内容を考え、食べることが負担にならないよう、毎日の食生活を考えましょう。
また、介護にあたる人も、一緒に食べられるメニューなどを考えて、健康的で共通の愉しみとなるような食事を検討しましょう(実際に、介護用のメニューを一緒に食べていたら、なんだか食生活の質が向上した、という話もよく聞きます。これを機にご家族の食事も見直しましょう)。
- たんぱく質: 肉、魚、卵、大豆製品など、様々な食品からバランスよく摂りましょう。
- カルシウム: 乳製品、小魚、緑黄色野菜など、カルシウムが豊富な食品を積極的に摂りましょう。
- ビタミンD: 日光を浴びることで体内で生成されますが、高齢者は日光浴の機会が減りがちです。食品では、鮭、卵黄、きのこ類などに多く含まれています。
- 食物繊維: 便秘予防に効果的です。ごぼう、こんにゃく、海藻類など、食物繊維が豊富な食品を摂りましょう。
- 水分: 水分不足は、便秘や脱水症状の原因となります。のどの渇きに本人が気が付かないこともあるので、周りがこまめに水分を摂るように準備しましょう。
専門家への相談について
栄養バランスや病状に合わせた食事選びなど、専門家に相談することでより質の高い食生活にすることができます。
介護をされる人だけでなく、介護をする人自身に関する健康上の悩みなども専門家に相談できます。
- 歯科医: 歯の健康状態が悪化すると、食事が楽しめなくなり、栄養状態が悪化する可能性があります。定期的に歯科医を受診しましょう。歯科医へ連れていくことが困難な場合は、訪問診療をしてくれる歯医者さんを探しておきましょう。
- 栄養士・管理栄養士: 病院や施設での栄養指導のほか、家庭での健康に配慮したメニュー作りなども相談することが可能です。管理栄養士監修のレシピサイトなども活用しましょう。ソラレピ
- 薬剤師: 服用している薬と食品との相互作用について、薬剤師に相談しましょう。
- 理学療法士: 運動療法や日常生活動作の指導を受けることで、身体機能の維持・向上を図ることができます。
介護する人へのアドバイス
介護する人が、介護する相手のことばかりを考えて、自分の食生活の質が落ちてしまってはいけません。また、介護に関する悩みや相手に対する不満なども自分だけで抱えると、思わぬ寝不足や体調不良にもつながります。
困ったときは支援サービスなどを利用し、「共倒れ」にならない介護生活を送ることが重要です。
- 自分の健康も大切にする: 介護者は、自分の健康を損なわないように、無理のない範囲で介護を行いましょう。
- 地域の支援サービス: 地域には、高齢者や介護者のための様々な支援サービスがあります。役所の窓口や地域包括支援センターなどに相談してみましょう。
- 介護者のための相談窓口: 介護に関する悩みや不安は、一人で抱え込まず、介護者のための相談窓口に相談しましょう。
睡眠と食事は介護にかかわるみんなの問題
高齢者の介護は専門的な知識とスキルが必要だ、と考えると、ますます不安になりがちです。この記事で紹介した情報を参考に、無理をすることなくご自身の状況に合わせた介護を行ってください。また、専門家への相談を積極的に行い、周囲の協力も得ながら、家族全員が安心して暮らせる環境づくりを目指しましょう。
【参考リンク】
- 健康・医療睡眠対策(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/suimin/index.html - 高齢者の睡眠 e-ヘルスネット(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-004.html - やさしい献立 介護食 (キューピー)
https://www.kewpie.co.jp/udfood/ - 高齢者と食事(公益財団法人長寿科学振興財団)
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/koureisha-shokuji/index.html