穏やかな最後のために 延命治療について話し合おう
大切な家族が高齢になり、いつまでも元気でいてほしいと願うのは自然なことです。
しかし、年齢を重ねるにつれて、病気やけがのリスクは高まり、延命治療の選択肢が迫られる場面も出てくるかもしれません。
延命治療は、医療技術の進歩により様々な選択肢がありますが、同時に、家族にとって大きな決断を迫られる問題でもあります。
この記事では、高齢者の延命治療について、家族で話し合う上での注意点などをわかりやすく解説します。
ご家族が安心して意思決定ができるよう、少しでも役立てたら幸いです。
なぜ延命治療について家族で話し合う必要があるのか
高齢者が病気になった際、医療チームは、ご本人の容態や家族の意向を踏まえ、治療方針を決定します。しかし、ご本人が意思表示が難しい場合、家族がその意思を代弁することになります。そのため、事前に家族で延命治療について話し合い、お互いの考えを共有しておくことが大切です。
- 本人の意思を尊重するため: ご本人が意識のあるうちに、延命治療についてどのような考えを持っているか、話し合っておくことが理想です。
- 家族の負担を軽減するため: 事前に話し合っておくことで、いざという時、家族が慌てずに決断することができます。
- 医療スタッフとの円滑な連携のため: 家族の意向を医療スタッフに伝えることで、より適切な医療を受けることができます。
延命治療の種類とメリット・デメリット
延命治療には、人工呼吸器、透析、人工栄養など、様々な方法があります。それぞれにメリットとデメリットがあり、ご本人の状態や家族の価値観によって選択が変わってきます。
人工呼吸器
- メリット: 呼吸困難を改善し、生命を維持できる可能性がある。
- デメリット: 機械に繋がれることで、行動が制限される。感染症のリスクが高まる。
透析
- メリット: 腎臓の機能を補い、生命を維持できる。
- デメリット: 体に負担がかかり、痛みを伴うことがある。生活が制限される。
人工栄養
- メリット: 栄養状態を改善し、体力維持を図れる。
- デメリット: 誤嚥のリスクがある。効果が期待できない場合もある。
家族で話し合う上でのポイント
- 本人の意思を尊重する: ご本人の価値観や生き方を尊重し、その意向を最大限に考慮する。
- 家族間のコミュニケーションを密にする: それぞれの意見を聞き、お互いを理解し合う。
- 医療者からの情報収集: 医師や看護師から、病状や治療法について正確な情報を提供してもらう。
- 専門機関のサポートを受ける: 必要に応じて、緩和ケアチームや医療ソーシャルワーカーなどの専門機関のサポートを受ける。
話し合う際に役立つ質問例
家族で話し合う際に、どんなことを確認しておいたらよいのかを以下を参考にしてみてください。いざという時にその場にいる人だけに選択させるのではなく、前もって話し合い、家族の意見を話せることはとても大切なことです。
- もし、意識がなくなったら、どのように過ごしたいですか?
- 痛みや苦しみを伴う治療を続けることは、ご本人の希望に合いますか?
- 家族と過ごす時間を優先したいですか、それとも治療を優先したいですか?
- もし、回復の見込みがなければ、治療をやめることを考えていますか?
【参考サイト】人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン(厚生労働省ホームページ)
本人の意志を尊重
延命治療は、医療の進歩により選択肢が増えた一方で、家族にとって非常に難しい決断を伴う問題です。
しかし、事前に家族で話し合い、本人の意思を尊重することで、後悔のない最期を迎えることができます。
この記事が、ご家族の意思決定の一助となれば幸いです。
【参考リンク】
- 延命治療や緩和ケアの選択 家族と具体的に話そう(日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO29243100R10C18A4KNTP00/ - 延命治療(静岡県立静岡がんセンター)
https://www.scchr.jp/cancerqa/kjyogen_10081.html - 延命治療(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BB%B6%E5%91%BD%E6%B2%BB%E7%99%82